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ザ・スーパー・ポップ宣言

私の好きな甘茶5

私の好きな甘茶ソウル(5)
MY FAVORITE SWEET SOUL (5)



スウィート・ソウル・ベスト10 集計一覧

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湯村輝彦 GANGSTA LUV

山下達郎 サンデー・ソングブック

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甘茶ソウル入門の部屋

U.S.BDG 究極のLPコレクション - グループ編(1) (2) (3)

マニアック甘茶ソウル@YOU TUBE


【 甘茶偏差値 68

BARBARA JEAN ENGLISH / YOU'RE GONNA NEED SOMEBODY TO LOVE
(WHILE YOU'RE LOOKING FOR SOMEONE TO LOVE )(ALITHIA 6053)'73


BARBARA JEAN ENGLISH YOU'RE GONNA NEED SOMEBODY TO LOVE ep.JPG BARBARA JEAN ENGLISH.jpg

甘茶ソウル百科事典P.68及びBILLY'S SELLECT 017。GEORGE KERRプロデュース、アレンジがBERT KEYES、73年の女性ヴォーカル作品というと、「SOFT TOUCH / IS THIS THE WAY TO TREAT A GUY (SHOUT 259)」と全く同じ。ここでもバート・キーズの優雅で甘美なアレンジは健在でストリングスやらグロッケンやらで、しっかりと甘茶な味付けが為されています。まるで遺影のような物悲しさ漂うジャケ同様、悲しみに溢れたメロディも質が高く、心に深く染み入ります。所謂レディ・ソウルということになりますが、節操の有る「がなり」過ぎない彼女の歌唱スタイルにも好感が持てますね。翌年にGENTLEMEN & THEIR LADIESが出したサックス主体のインスト版は後半に男性による甘い語りが入るんだけれども、これをバーバラ版でも演って欲しかった。

BARRINO BROTHERS / RAIN LP(INVICTUS ST-9811)'73

BARRINO BROTHERS 2.jpg

U.S.BDG #251、甘茶ソウル百科事典P.67。バリノ・ブラザーズがインヴィクタスに唯一残した73年のアルバム「Livin' High Off The Goodness Of Your Love」収録曲。スケールの大きなバラードで、大味かつキャッチーなメロディは馴染みやすい反面飽きやすい嫌いはある。6分38秒と長く、ゆったりとしたテンポの曲だけどリードの迫力あるヴォーカルには終始圧倒され、緊迫感がみなぎっています。爽やかで高揚感のあるコーラスをバックに、大上段に構えた大ナタを力強く振りかざすキコリにように荒削りで男気溢れる歌声は甘茶ソウル、というよりもソウル・ミュージックの醍醐味を大いに感じさせてくれます。

BROTHERS OF SOUL / DREAM (SHOCK 1313)'71

BROTHERS OF SOUL  DREAM.JPG

「JACKSON SISTERS / MIRACLES」ばりのドラムのフィルインの入る甘めのソウル。オリジナルは「CREATIONS / A DREAM(ZODIAC 1005)」で、
「ROY "CORTEZ" BUTLER (BOO 1002)」「PEARL JONES」もやってます。それにしてもカバー、ちょっと多過ぎませんかね?何でだろう。中でも出来のいいのはBROTHERS OF SOUL版とCREATIONS版でしょうね。共にリードは塩辛い感じだしアップテンポの派手なトラックなので、ソフトなスウィートソウルという訳ではないけれど、夢見心地なファルセット・コーラスと美しい弦の音色が甘い雰囲気を醸し出しています。

タイトルはずばり「夢」だけど、このDREAMってのも甘茶ソウルの大事なキーワードですね。「WILLIAM HART / FOLLOW EVERY DREAM」、「SPECIAL EDITION BAND/ YESTERDAY'S DREAM」、「CHOSEN FEW / I CAN MAKE YOUR DREAMS COME TRUE」、「MARVIN SIMS / DREAM A DREAM」などなど良曲がいっぱいです。

「YOU TUBE」で聴けます。

EBONYS / DETERMINATION (PHILADELPHIA INTERNATIONAL 3510)'71

EBONYS DETERMINATION.jpg EBONYS.jpg

「IT'S FOREVER」,「YOU'RE THE REASON WHY」といった甘茶ソウル名曲を持つフィラデルフィアのスーパーグループのシングル・オンリー曲。GAMBLE&HUFFの作品でアレンジはBOBBY MARTIN。2003年にリマスターでCD化された1STアルバムにボーナストラックとして収録されました。海賊コンピ「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.8」にも収録されているので、当時からマニアには人気の高い曲だったことが伺えます。

流麗かつ軽快で小気味良いピアノの音色に重量感のあるゴージャスなドラムロールが織り重なっていき、切れ味鋭いファルセット・コーラスが一気に盛り上げバリトンとファルセットが絡んでいくという、ほんの短い一瞬に非常に劇的な展開を魅せる曲。バリトンの荒削りで熱い唱法もいいけど、やはりこの曲の一番の魅力は「ディタミネイション」と歌うコーラス部分に有りますね。

高揚感のあるキャッチーで爽快なメロディは70年代の晴れ上がった青い空と乾いた空気を漂わせ、瑞々しさと甘味を兼ね揃えたコーラスはどこか楽観的ながらも強い決意を感じさせます。緊迫感とワクワク感のある何とも旨味のある魅力的なフレーズで、甘茶ソウル史上もっともスリルの有るコーラスと言えるんじゃないかな。

GASLIGHT / IT'S JUST LIKE MAGIC (POLYDOR 14276)'75

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二大甘茶ソウルグループのもう一方 GASLIGHTとして紹介済みのOLIVER CHEATHAM率いるザ・ガスライト。アルバムを残しておらず、残した数少ないシングル皿がどれも高品質という非常にマニア心をくすぐるグループ。内容も決して大味ではないところがまたね。Grand Junctionに残した「Drifting Away」「I'm Gonna Get You」の2曲は甘茶ソウル史上に燦然と輝く金字塔だけれども、75年に大手POLYDORから出したこの曲もかなり質の高い甘茶ソウル。基本は淡々と歌うリードですが、時折ファルセットになると途端に糖度が劇増。触れば崩れそうな甘い歌声による繊細な表現が素晴らしい。サビの物悲しいメロディを歌うファルセット・コーラスも魅力的。因みにシングルの裏面の「Just Because OF You」も人気曲です。

「YOU TUBE」で聴けます。

INCLINATIONS / CROSS MY HEART (To You) (JANUS 240)'74

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シングル2枚だけ残して消えたマイナーグループ、インクリネイションズの2枚目のシングル「Could This Be Love, That I Feel」のB面曲。日本産甘茶ソウルコンピ「フィラデルフィア・スウィート・ソウル」にも収録されていました。残された4曲の中でも唯一ファルセットリードなのがこの曲。全体として靄がかかったかのような不思議なムードが漂い、リードやコーラスもかなり脱力ぎみ。派手さはないけれどメロディの出来はよく、サビ直前で聴ける一瞬の胸キュンフレーズが魅力的。ヴォーカルなど個々のパートは弱くても、こうした全体としての調和によって曲に輝きが出るというお手本のような曲です。

「YOU TUBE」で聴けます。

O'JAYS / JUST ANOTHER LONELY NIGHT (PI B-50013)'85



フィラデルフィアのヴォーカルグループO'JAYSの85年のアルバム「LOVE FEVER」収録曲。フィラデルフィアの重鎮Kenneth GambleとLeon A. Huffによる作詞作曲プロデュース作品で録音もシグマサウンドと85年とはいえ将にフィリー全開な内容。曲は悪く言えば暗く重い雰囲気で、私自身若い頃はあまり好きな曲ではなかったのだけれど、高齢になった最近はその暗いムードに大人の荘厳で孤高の雰囲気を強く感じ、かなり好きになってきた曲。多層的なコーラスワークとメロディの出来の良さも素晴らしい。甘さという点では少し足りないセミスウィートという感じだけど、チョコレートでいう大人向けのビターチョコといったところですかね。

「YOU TUBE」で聴けます。甘茶ソウルものには珍しくこの曲のPVも見れます。

ROSE ROYCE / GOLDEN TOUCH (WHITFIELD 17747)'80



ロスのヴォーカル&インスト・グループの81年のアルバム「GOLDEN TOUCH(WARNER 56 881)」のタイトル曲。甘茶ソウル百科事典には未掲載なので、濃い目の甘茶好きには意外と盲点となっている曲かも知れません。因みに山下達郎は何度かオンエア。

ベースやドラムの無い、淡く薄味なシンセ、エレピ?、ストリングスの音色を中心としたシンプルなサウンドをバックに女性リードがしっとりと歌い上げる曲。神聖かつ幻想的な雰囲気を持つサウンドは甘く美しく品の良さも感じさせます。そしてどこをとっても美味!うーん、いつまでも聞いていたいって感じ。このあたりはアレンジのノーマン・ホウィットフィールドのセンス炸裂ってところなんでしょうかねえ。更にヴォーカル・パートのメロディも変化に富みながらもどこも例外なく美しく非常に魅力的。薄味なので飽きにくい点もいいね。これだけ出来のいいメロディなので、多くのカバーソングがあるのかと思いきや意外と少なくて、思いつくのはレゲエ・アーチストのSHINEHEADとSHABBA RANKSぐらいなんだけど、出来は悪いんですよねー。

「YOU TUBE」で聴けます。

【 甘茶偏差値 67

BINGO / WE CAN'T GET ENOUGH (SILVER BLUE 803)'73
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2006年4月に山下達郎がSSBでオンエア。まさかこれがオンエアされるとは、いやあ驚きました。リクエストする方もする方だけどかける方もかける方だね。緊迫感あるファルセットコーラスが実に素晴らしいミディアムダンサーだけど、この狂おしいほどの妖しい魅力を放つコーラスに一体どれほどのSSBリスナーがビビビビーンと雷に打たれただろうか。INVITATIONSやらEDDIE HOLMANやらマニア垂涎の甘茶ソウルを連発したSILVERBLUEレーベルだけど、なんと主催者はオカマで山下達郎氏も会ったことがあるとのこと。オカマということで妖しい魅力を放つグレイドの高いラインナップもこれで納得だね。

BLOODSTONE / NEVER LET YOU GO LP(LONDON 620)'73

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ブラッドストーンの2NDアルバム「NATURAL HIGH」収録で甘茶ソウル百科事典P.79掲載曲。タイトルヒットが有名ですが、甘茶ソウル的には十歩も百歩も魂の奥まで踏み込んだ濃厚な内容のこちらでしょう。ゆったりと落ち着いた出だし部分はメロディに派手さは無いものの、軽やかなギターカッティングと緩やかなグルーヴが心地よい。そして中盤になってコーラスとテンションの高いファルセットが入ってきて俄然盛り上がってきます。どちらかと言えば淡々とした「NEVER LET YOU GO , BABY」と繰り返すコーラスをバックに、悲壮感と緊迫感いっぱいのファルセット&バリトンがシャウトを交えて壮絶に歌い上げます。

「決して君を行かせはしない」という少々ストーカー的な心情を情感たっぷりに吐露する様は、今の時代なら「必死だなwww」と小馬鹿にされそうなものだけど、70年代ソウルファンとしては当然ながら「そこがイイ」。喉よ裂けろ、血の痰よ飛び散れとばかりに一試合完全燃焼、死人も出るアストロ球団よろしく燃え上がる、この熱唱こそがオヤジ心を熱くさせるのサ。「YOU TUBE」で聴けます。

DEBBIE TAYLOR / I DON'T WANNA LEAVE YOU (ARISTA 0144)'75

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甘茶ソウル百科事典には未掲載で、U.S.BDG #418の女性シンガーのNOT ON LPのバラード大作。その唱法からディープソウルと言っても差し支えない感じですが、全体に漂う甘い雰囲気は甘茶ソウルのそれ。75年作で「A TOM MOULTON MIX」とあるから、おそらくフィリー録音なんでしょうね。流麗かつ高潔なストリングスに包まれ、咽るように濃厚なフィリー臭に思わず胸がキュンと締め付けられます。別れを惜しむ悲しげな女性の気持ちを表現したメロディも、出だしからサビに到るまで実に情感深く、ダイナミックなラインを描いています。

このメロディなら、どう料理しても駄作になるはずが無いって感じですね。ヴォーカルは太く、唱法も激しくディープですが、とっても美味しく頂けます。イントロが静かだったり、途中甘い語りが入ったりとバランスのとれた構成も見事。甘く切なげな女性コーラス、厚みのあるゴージャスなバック、ドラマチックな曲調と将に70年代ソウルの黄金期の作品といった感じです。「YOU TUBE」で聴けます。

EUGENE RECORD / MOTHER OF LOVE LP(WB 3018)'77
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CHI-LITESのリード、ユージン・レコードのソロ第一作収録曲。個人的にはチャイライツ関連の甘茶ソウルの最高傑作と思っています。基本は静かな落ち着いた曲調。ユージンの抑制の効いたソフトなヴォーカルが冷ややかなシカゴの風に乗って揺蕩(たゆた)います。淡白な派手さの無い起伏の少ないメロディではありますが、その旋律は絶妙で素晴らしい曲線を描いております。

ムードだけは甘くて、なんとなーく静かで、なんとなーくソフトで、なんとなーく甘茶な感じがする中身の薄っぺらな凡百なメロディとは格が違う、超一流のメロディラインであります。更に後半で聴けるアレンジが素晴らしく、リード、シンセ、コーラス、それとエレキシタールっぽい「ピンピンピンピピン」という音が微妙にずれながら幾重にも重なり、共鳴しあう様はまるで万華鏡のような美しさです。

これほどの名曲でありながら、U.S.BDGでも甘茶ソウル百科事典でも特にこの曲は取り上げられていません。然しながら山下達郎氏が1984年5月17日のNHKサウンドストリートの「Sweet Soul 特集」でオンエアしています。こういったメロディラインが際立った曲を取り上げる、氏の審美耳は本当に素晴らしいですね。

一つ余談。もう時効でしょうから書きますが、当時のエアチェックを編集した自分のテープでは曲/アーチスト名が分からなくなっていて、長らく困っていました。そこで、「ニフティサーブ FBEAT 11番会議室 ブルー・ラウンジ」 でこの曲のことを尋ねてみました。

「ピンピンピンピピン、ピンピンピンピピン。THERE'S A FATHER OF THE COUNTRY (?) ... と始まる山下達郎がオンエアした曲は何ですか?」

すると、暫らくしてから、なんと山下達郎氏の事務所の方がメールでEUGENE RECORDだと教えてくれたのです。でも、そのニフティのIDを持った方はユーロプログレファンだということなので、これだけの情報だけでこの曲のことが分かるはずがありません、、、。?!そうです、つまり結局のところ私に教えてくれたのは他ならぬ、この曲をオンエアした山下達郎氏ご本人だったのでしょうね。達郎氏も当時国内唯一のソウル部屋を覗いては楽しんでおられたのでしょう。達郎さん、その節はどうも有難うございました。

FIRST KLASS / LOVE ME AGAIN 12"(MYSTERIOUS 101)'85

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このグループのことは甘茶ソウル百科事典P.33で「TERRY HUFF&SPECIAL DELIVERY / I DESTROYED YOUR LOVE」のカバーで知られるKLASSとともに紹介されている。それと同一グループかどうかは兎も角、TERRY'S SELLECT 013の「SANDEE' / LET'S STAY IN LOVE」のバックを務めているのは間違いなさそう。そのお皿ともどもこの「LOVE ME AGAIN」は甘百掲載皿の中でも最もレア度が高く、マニア受けの高い甘さを持つ曲であり、そういう意味ではFIRST KLASSは甘茶ソウル界ではかなり重要な位置を占める存在と言えよう。

音のほうは85年製ということもありシンセなど新しめの楽器を屈指したサウンドで、特にベースの重低音は70年代コーラスグループのサウンドに慣れたものには異質に聴こえるかも。冒頭には電話音も入り、ゆったりとしたファルセット&コーラスの夢見世界は敷居は高いが慣れれば病み付きになりそうな麻薬的魅力を持ち合わせている。この曲は甘百本編での扱いは小さいものの、テリー氏がこれまで随所で取り上げてきたことを考えるとTERRY'S SELLECTに選出されていないのがおかしいぐらいの作品である、というかおそらく選出し忘れてしまったのだろう(笑)。TERRY'S SELLECTを一通り聴かれたら、是非欠かさず聴いて欲しい一品。

GLASS HOUSE / LOOK WHAT WE'VE DONE TO LOVE LP(INVICTUS 7305)'71

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甘茶ソウル百科事典P.32及びU.S.BDG #250掲載曲で彼等の1STアルバム「INSIDE THE GLASS」収録。インヴィクタスには珍しい甘茶もの。ハイテナー・リードのタイ・ハンターのねっちょりとした歌い方が特徴的ですね。バックの音は小さく控えめで、悪く言えば物足りなく、良く言えば上品な内容。スネアドラムの音だけやけに耳につくんだけど、ギターの甘い音色や崇高な雰囲気を醸すストリングスこそ、もっと過剰に強調して欲しかった。コーラスも申し分け程度しか入ってなくグループもの甘茶好きとしてはバックには少し不満が残ります。

しかし、だからこそタイ・ハンターのリードが際立っていて、その強弱/高低の付け加減などかなり技巧的で聴かせる内容。悲しげなメロディを丹念に切々と歌い上げる様は、それだけでも好感が持てますね。甘く品のある全体のムード、メロディを軽く聞き流すのもいい。けれど本気で甘茶ソウルを始めるならば、ヘッドフォン着用の上で繊細な歌い回しを貪るように聴きこむべし、聴きこむべし&聴きこむべし。

HARRY RAY / SWEET BABY LP(SUGAR HILL 269)'83
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明るい陽射しの射す幸福感に満ちた甘ーい甘茶。(凄い日本語、、、)プロデュースはSYLVIA,TOMMY KEITHなどでクレジットは無いけれどこの曲はSYLVIAとのデュエット。甘茶ソウルの「甘く、切なく、やるせなく」の三原則のうち「切なく、やるせなく」が欠落するも、それを補って余りある甘さ加減。ハリーレイの唱法が甘ければ、シルヴィアも負けじとセクシー唱法で応戦。タイトルも「SWEET BABY」だし、まさに男女のベッドでの甘くとろけるような営みを彷彿させる内容。優しく包み込むようなメロディも実に良く出来てるしシタールの黄昏な音色にもちょっと胸キュン。メイクラブのお供に最適ですヨ。なお、日本盤CDが92年にP-VINE(PCD-2348)より出ています。解説はフラミンゴスタジオの面々。山下達郎もNHKサウンドストリート時代にオンエアしています。

INVITATIONS / LET'S LOVE (ALT.TAKE) (SILVER BLUE 804)'73

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『LET'S LOVE(SILVER BLUE 804)には、語りも入り、バックの演奏も違う別テイクもあるとの事。本当かあ。』という事ですが、今回はこれを検証してみましょう。タイトルからして実に甘茶してますが、中身の方も、ストリングスたっぷり、鉄琴キンコンの黄金の甘茶パターン。私も大好きな一曲です。

この曲には確かに二つのテイクが有ります。どっちがどっちというのは、お皿を持ってないので分かりません。なので、もしかしたら情報に過ちがあるかもしれませんので悪しからず。聴いた感じではバックの演奏は同じみたいですね。曲の長短の違いだけのようです。あと、どちらにも語りは入ってます。

(1)SHORT TAKE (実測 3:16) / LET'S LOVE (SILVER BLUE 804)
途中二個所入る語りの部分を、リードが歌の感じそのままに語ってます。ENDING CHORUS は後者と比べると2フレーズ分削られています。

(2)LONG TAKE (実測 3:42) / LET'S LOVE (SILVER BLUE 804)
途中二個所入る語りの部分を、リードとは別の人またはリードが歌の感じとは別の調子で語ってます。ENDING CHORUS が2フレーズ分有り、前者と比べ甘い余韻をじっくりと楽しむことができます。

語りの部分は好き嫌い別れるところですが、私は後者の方が好きです。展開的にメリハリがついていて、よりドラマチックと言えるでしょう。


MAJOR LANCE / YOU'RE EVERYTHING I NEED (OSIRIS 001)'75

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1963年のヒット曲Monkey Timeなど60年代初期のダンスナンバーの印象が強いメジャー・ランスが恐らくは人気が下降していたであろう1975年になってOSIRISから出したセミ・スウィート。その背景からも甘茶ファンには盲点的な曲かも。哀愁感漂うピアノが軽やかに鳴り響くイントロが絶品で、この曲の魅力の主軸となっている。作曲は南部で活躍したシンガーソングライターFrederick Knightで、甘みがかったメロディラインは流石の出来。流麗なメロディがミディアム・テンポで展開されるところに妙味がありますね。このキャッチーなピアノを主体としたトラックは流用が効きそうだけど、どこかで使い回されてませんかね?BRENTON WOODによるカバーを聴くとMAJOR版トラックの秀逸さは明白ですね。

「YOU TUBE」で聴けます。

MODULATIONS / WHAT GOOD AM I CD「IT'S ROUGH OUT HERE」'73

MODULA

ノースカロライナ出身のグループ、モデュレイションズの73年のシングル「I'm Hopelessly In Love」のB面の曲。甘茶ソウル百科事典 MOONY'S SELLECT 067掲載の75年のアルバム「IT'S ROUGH OUT HERE」の再発CDにも収録されています。なお、このアルバムには「Worth Your Weight In Gold」、ファルセトが魅力の「Those Were The Best Days Of My Life」といった甘茶ソウルも収録されているので甘茶史上に残る名盤と言えますね。

この曲もそんな1曲で、リードこそファルセットではないもののなかなかの甘さに仕上がっています。イントロはじめ随所に聴かれるシタールの情緒的で甘い調べが特徴的。シタール(エレキシタール)は甘茶ソウルを構成する重要で魅力的な要素の一つなんだけど、頻繁に導入されていたのは70年代までなんでしょうかねえ。個人的にとても好きな音色なんだけど、残念なことにソウル的には絶滅危惧楽器ってことになりますか。

その後展開されるメロディは、Aメロ、サビメロ、Bメロとも良く出来ていて特にシタールと共に歌われる泣きの入ったサビは秀逸。ちょっと郷愁誘い系って感じ?コーラスもしっかり入ってるし、これはリードを抜いてデルフォニックスのテーマみたいに半インスト・バージョンを作っても良かったんじゃないですかねえ。

「YOU TUBE」で聴けます。

NIGHTS / COUNTRY GIRL LP(LITTLE STAR 1003)'76

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ニュージャージーのヴォーカル&インストゥルメンタル・グループの唯一のアルバム「THE NIGHTS」は、甘茶ソウル百科事典、U.S.BDGともに未掲載。関西のソウルファンジン「SOUL TO SOUL #59」のベストグループアルバム100選には選ばれていて、なかなか微妙な立ち位置のようです。ジャケは二種類あって左側の方がオリジナル。

曲はバランスの取れた素直な王道甘茶スタイル。クセの無い甘く清らかなファルセット・リードに、爽やかで温かみのあるコーラス。グロッケンやストリングスの入るサウンドは適度に煌びやかで耳に馴染みやすく、間奏部分に甘めの語りも入ったりと将にこれぞ70年代甘茶ソウルという典型的仕様。

甘茶のメロディラインを「胸キュン系」「ベッチョリ大甘系」「せつな系」「やるせな系」「緊迫系」「ほのぼの系」「爽やか系」「心が洗われる系」などに大別して考えると、この曲は「心が洗われる系」になりますかねえ。分かりやすい美しいメロディで田舎の少女を想う純朴な気持ちに心が洗われる思いがします。「YOU TUBE」で試聴出来ます。

NORFOLK / Don't Ask Me (TO EVER STOP LOVING YOU)
(TRENTON INTERNATIONAL 45001)'78


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甘茶ソウル百科事典P.66掲載グループで、名コンピ「The Essential Sweet Soul Selection」収録曲。米国バージニア州にノーフォークという都市があるみたいですね。U.S.BDG #313のMIRAGEもやっているKEN WILLIAMS/J.R.BAILEY作のこの曲は渋いバリトンの語りやリードの洗練された歌声など、どれをとってもMIRAGE版を凌ぐ傑作バラード。間合いをとったりピアノやストリングスで劇的に盛り上げるバックもいいね。

このNORFOLKは「INTRUDERS/COWBOYS TO GIRLS」の素晴らしいモダン・ダンサー・カバーがありそちらも必聴。同じく洗練されたモダンな内容の「YOU ARE MY DOLL BABY 12"(MIDNIGHT LOVE 002)'88」も良い。更に甘百未掲載の、やはりJ.R.BAILEYのカバー曲、YOU PASSED MY LOVEもメロディの良さと甘さを兼ね揃えた甘茶良曲。彼らはアルバムを出しませんでしたが、残された数少ない曲は何れも抜群のセンスを見せ付けた素晴らしいグループで、ソウルマニアにも非常に評価が高いのです。

PERSUADERS / I'VE BEEN THROUGH THIS BEFORE (ATCO 7012)'75

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パースウェイダーズといえば「Thin Line Between Love And Hate」が有名ですね。75年のシングル・オンリーのこの曲は甘茶ソウル百科事典、U.S.BDGともにスルーしてしまった曲だけど、真の甘茶者ならばこの曲こそを代表曲に選びたい。ライターは質の高い旨味のあるメロディを書くことで知られるSAM DEESで、アレンジはトムベル(TONY BELL)。

曲は暖かい南部の雰囲気を漂わせる大仰なバラード。コーラスも大掛かりならばリードも負けじと熱く、終始感動の押し売り状態。昂揚感のあるサビも大盛り上がり大会で、ストリングスを交えひたすらゴージャス。そんなコッテリとした中で、軽やかに清々しく鳴り響くピアノの音色が心地よく実に効果的。ともすれば一本調子で単調になりがちなサウンドに奥行きと味わい深さを加味したアレンジは、流石トムベルPといったところ。

REGAL DEWY / MARRY ME AGAIN (MILLENNIUM 609)'78

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「王に相応しい、露にぬれた」?ちょっと意味不明なグループの甘茶ソウル。プロデュースはDenny Randellで、アレンジはCharlie Callelo。山下達郎が2002年にオンエアしていてその時「でっち上げバンド。歌っているのは白人シンガーらしい。」とのコメントがあったようです。曲は「もう一度結婚して~」と高らかに歌いあげる甘茶小唄で、そのサビに向けて徐々に気持ちを高ぶらせていくかのようなメロディラインがなだらか綺麗です。清廉な響きのストリングスをはじめ、エレキシタールや鐘の音などの小技的甘茶要素を散りばめたドリーミーなサウンドも良い。

そして何より男の娘(*)リードの甘いファルセット・ヴォイスが魅力的。とろけるように甘く滑らかで仄かな色気を漂わせ、ちょっと涙声混じりに甘えるように情感込めて可愛らしく歌う様は極上物。私にはリードが黒人か白人かなんてのはどうでもいいんだけど、こんな可愛い声が女の子のハズが無いですよね。終盤で感極まって悶えるように「アハハーン」と絶唱する様は、あたかも、、、(以下自粛)。

* 男の娘/ご参考 → 渡良瀬準アーケード総集編

ROBERT WINTERS & FALL / MAGIC MAN (BUDDAH 624)'81

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甘茶ソウルにおいて「MAGIC(魔法)」という言葉は最も大事なキーワードの一つ。「TRUMAINS / MR. MAGIC MAN」、「GASLIGHT / IT'S JUST LIKE MAGIC」、「PULSE / DON'T STOP THE MAGIC」など優良曲がゴロゴロあります。魔法という非日常的事象が甘い夢み心地な雰囲気を醸すのに大いに有効ということでしょうね。ロバート・ウインタースの1STアルバムのタイトル曲であるこの曲も、そういったドリーミィーな曲の一つ。「I'M YOUR MAGIC MAN」と女性に語りかけるように歌い上げる所は「白馬に乗った王子様」的意味が濃いのかも知れません。非裏声でクセの無い男性ヴォーカルがムーディーに聴かせる内容なので、「女性を口説く為の究極のBGMベスト10(スウィート・ソウル編)」に入れても良かったかも。

「YOU TUBE」で聴けます。

SEVENTH WONDER (7TH WONDER)/ FOR THE GOOD TIMES (PT.1) (A-BET 9454)'74

SEVENTH WONDER.jpg

南部、カントリー臭漂うオーソドックスなバラード。オリジナルは1968年のBill Nashで白人歌手のようです。作曲はKris Kristoffersonで、彼の代表作は「Gladys Knight & the Pips / Help Me Make It Through the Night」みたいですね。(こちらはJOHN HOLTのカバーの方が秀逸)second hand songsでこの曲を調べると、なんと69ものカバーが。なかでもソウルファンに有名なのは、AL GREEN版でしょう。私も大のお気に入りです。っていうか彼がオリジナルだと思っていたぐらい(笑)。他ではAaron Neville版も結構はまってるかも。またラヴァーズロックで「J.REDMAN & N.STEPHENS」によるカバーも素晴らしい。

まあ元がいいから、どう料理しても美味しいって感じですが、甘茶者には74年のSEVENTH WONDER版でしょうね。寂しげな弦の音色から唐突に始まるこの曲はヴォーカルのか細いハイトーン・ヴォイスが曲調にマッチ。悲しげで幸薄そうながらも表情豊かに丁寧に歌いこまれていくところがいいね。なおシングルのB面はパート2になってますが、何もここまで長くやらなくても、、、って感じがします。

YOUNG DIVINES / I'LL SHOW YOU WITH LOVE (NEW LONDON INTERNATIONAL 1004)'77



個人的に日本の甘茶ファンに騒がれた記憶がないマイナーグループの77年のスウィートソウル。ニューロンドンという調べるとたった2枚しか出していないマイナーなレーベルから出た作品で、地名からするとコネチカット州辺りのグループなのかも知れない。シングルもこの1枚しか出していない謎のグループだけど、サム・ディーズがプロデュースに関わっている様子。お皿は同年に(COTILLION 44223)としても出ていて、出していきなり潰れてしまったレーベルなのかも。

音の方は77年ということで熟成した味わいのあるスウィート。ストリングスをはじめ細やかな装飾音など、きめ細かに作りこまれたサウンドが素晴らしく、穏やかで甘いコーラスが品の良さを醸し出している。切々と歌うファルセット・リードは声質、唱法とも申し分なく、悲し気なメロディもほのかに明るさを感じさせ好印象。全体として実に良質なスウィートになっていて、たった1枚で終わったグループなら実に惜しい。かなり実力を感じるし製作陣も立派なので、もしかして有名なグループの成れの果てだったりするのかも知れないですね。

「YOU TUBE」で聴けます。


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